こんにちは。立川市 歯科島津医院 院長の島津です。
寒風が身に染みる時期となりましたが、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、皆さまはお口の「乾き」について
気になったことはないでしょうか?
口腔機能低下症の1つである
「口腔乾燥(ドライマウス)」は、
15人に1人の割合で
罹患していると言われています。
唾液の分泌が低下して、
口が乾いた状態のことをさしますが、
自覚症状があまりない方もいらっしゃいます。
軽度では主に口の中のネバネバ感、
ヒリヒリする、う蝕、歯垢の増加、
口臭も強くなります。
重度になると、唾液分泌量が低下し
口腔内の乾きが進行し、
強い口臭、舌表面のひび割れ、
痛みで摂食障害、会話しづらいなどの障害も現れます。
場合によっては不眠をきたすこともあります。
平均的な唾液の分泌量は、
一日あたり約1~1.5リットルで、
口の中の唾液腺から湧き出し、
口の中の食べかすを、
消化器官へと洗い流してくれています。
また、唾液には抗菌作用があるため、
口の雑菌の繁殖を防いでくれています。
そのため、唾液が不足して口が乾くと、
う蝕や歯周病にかかりやすくなり、
更に、口臭の原因にもなってしまうのです。
唾液の主な働きは主に7つあります。
1.消化のサポート
口から取り込んだものを溶かして、
分解しやすい状態にします。
唾液のサポートがなければ
胃腸でのスムーズな消化は行われません。
口の中である程度消化されることによって
胃腸の負担が軽くなります。
2.粘膜を刺激から守る
潤滑油のような働きで、
粘膜の可動域を広げ、
刺激から守ってくれるのが唾液の存在です。
粘膜が傷付くことを防ぎ、
口内炎ができにくい状態にしてくれます。
3.自浄作用が見込める
歯の表面や舌の表裏など、
口の中に残った食べかすを洗い流す役割があります。
4.殺菌・抗菌作用が期待できる
リゾチームやラクトフェリンなどの抗菌作用で、
口腔内からの細菌の侵入を防ぎ、
感染症予防にも一役買ってくれます。
5.口腔環境を中和してくれる
普段は中性のお口の中も、
食事をすると酸性に傾き、
この状態が長時間続くと
歯のエナメル質が溶かされていきますが、
唾液きは中和作用があり、
むし歯予防に繋がっています。
6.再石灰化を助ける
穴の空いていない初期むし歯であれば、
唾液中のカルシウムやリン酸成分により
再石灰化を促し
自然治癒する可能性があります。
7.不要な物質を排出してくれる
口の中に入ったウイルスやホコリ、
小さな塵などを体外へ
排出するのをサポートしてくれます。
この事からも、口腔乾燥症は
私たちの健康に密接に関わっていることがわかります。
口腔乾燥症の原因は
①過剰なストレス
②喫煙
③過剰なカフェイン摂取
④口呼吸
⑤薬の副作用
⑥加齢(お口の筋力低下)
⑦疾患によるもの
など様々ですが、
生活習慣・生活環境を見直したり、
口腔機能体操や保湿ジェルの使用、
唾液腺マッサージなどで
分泌を促してあげることができます。
唾液量が増えると、
お食事がより美味しく感じたり、
飲み込み易くなることで、むせたり、
誤嚥なども防ぐことができます。
当院では、ムーカス(口腔水分計)を使って
お口の中の乾燥の有無を測定しております。
この機器は、約2秒で測定することが出来るため、
測定される患者さまの負担がとても少なく、
侵襲性も少なく、安全性も高く、
測定結果は数値で表示されるので、
スクリーニング検査に最適です。
測定結果と共に、口腔機能体操や
唾液腺マッサージのコツを
患者さまにお伝えさせていただきます。
~まとめ~
口腔乾燥症(ドライマウス)は、
う蝕、歯周炎を増悪させたり、
摂食・嚥下障害による誤嚥性肺炎、
舌痛症、味覚異常、カンジダ症を誘発するなど、
口腔内環境に悪影響を及ぼします。
さらに、口腔内の免疫力低下による感染症の罹患など
全身状態悪化の引き金にもなるため、
日常臨床においては、
患者さんの口腔乾燥状態を
把握しておくことがとても重要です。
皆さまのご来院をお待ちしております。
皆さまにとりまして
本年が幸多き年でありますよう、
祈念申し上げます。
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